オープンバチカンを使って太い真珠のネックレスに取り付けられた珊瑚ペンダント

どう使うの?宝石箱で眠っていた「珊瑚のペンダント」が万能なオープンバチカンお直しで劇的復活!

譲り受けたジュエリーや昔購入した思い出の品々が、ジュエリーボックスの奥底で眠っていませんか? 「以前はペンダントとして使っていたはずなのに、気がついたらパーツがなくなっていて、どうやってチェーンに通せばいいのか分からない……」 そんな風に、使い方が分からなくなって仕舞い込んでしまうケースは実はとても多いのです。

今回は「どうやって身に着ければいいのか困ってしまって……」という「珊瑚(コーラル)」のジュエリーのご相談です。

あきらめて宝石箱に眠らせたままにしておくのは、本当にともったいないことです。ひと工夫加え、これまで以上に使い方のバリエーションが広がる万能ペンダントへと生まれ変わらせた、細やかなお直しのプロセスをご紹介。

1. 宝石箱から見つかった、使い方の分からない珊瑚

お客様がお持ち込みくださったのは、ふっくらとした楕円形に可愛らしいお花の彫刻が施された桃色の珊瑚です。

上部に小さなマルカンだけが残ったお直し前の桃色珊瑚のルース
宝石箱の中で眠っていた珊瑚。金具が一部紛失しており、どのように取り付けるか分からない状態でした。

「以前はペンダントだった記憶があるのですが、この状態で宝石箱の中に入っていて……。チェーンを通す輪っかも小さくて、どのようにネックレスに取り付ければいいのか全く分からなくなってしまって」と。確かに、頭頂部に小さな丸い輪(マルカン)がついているだけで、このままでは一般的なネックレスチェーンを通すことすらできません。

2. 状態のチェック:裏面からの観察

お直しをスムーズに進めるため、まずはひっくり返して裏面や全体の構造をくまなくチェックしていきます。

お預かりした桃色珊瑚ペンダントの平らな裏面
お直しの前に、まずは裏面や全体の構造に傷や傷みがないかを細かく点検します。

裏面は平らでなめらかに仕上げられており、珊瑚自体の状態は非常に良好。上部の小さな金具が珊瑚の本体にしっかりと固定されていることが確認できます。

3. ルーペで判明した過去のトラブルの痕跡

なぜ、チェーンを通すための大きな金具(バチカン)が無くなってしまっていたのでしょうか。その原因を突き止めるため、上部のマルカン部分を拡大ルーペで覗いてみました。

ルーペで拡大された先端が少し開いている古いマルカン金具
ルーペで覗くとマルカンが少し開いており、以前あったパーツが外れて紛失したことが分かります。

ルーペで細部を観察してみると、残されているマルカンの先端がほんの少しだけ「開いている」状態であることが分かりました。 どうやら、以前はここにチェーンを通すための別の取付金具(バチカン)がついていたものの、何かに引っかかって引っ張られた拍子にマルカンが開き、金具だけがポロリと外れて紛失してしまったようです。

原因が分かったところで、今回はこの「突刺しマルカン」の構造を活かしつつ、あらゆるネックレスへ自由自在に取り付けられるように、新しく「オープンバチカン」を追加取り付けるお直しをご提案いたしました。

4. 古い接続金具の取り外し作業

安全で頑丈なお直しを行うため、まずは現在珊瑚に取り付けられている古い突刺しマルカンを一度綺麗に取り外す作業から始めます。

珊瑚の本体から綺麗に取り外された古い突刺しマルカン金具
安全にお直しを進めるため、現状取り付けられている古い突刺しマルカンを一度取り除きます。

珊瑚に無理な負荷や傷がつかないよう、専用の道具を用いて、優しく慎重に古い金具を本体から熱を加えながら抜き取ります。

5. 職人の下準備:極細ドリルでの穴掃除

金具を抜いた後の珊瑚の穴の内部には、数十年前に取り付けられた際の古い接着剤の残りカスがカチカチに固まって残っています。このままでは新しい金具が奥までしっかり入りません。

極細ドリルを使って珊瑚の穴の内部を掃除する職人の手元
極細ドリルを慎重に使い、珊瑚の穴の内部に残った古い接着剤を綺麗にお掃除していきます。

そこで職人は、手作業で極細のドリルを扱い、珊瑚側の細い穴の内部を「キュッキュッ」と綺麗にお掃除していきます。少しでも手元が狂うとデリケートな珊瑚が割れてしまうため、指先の繊細な感覚だけで進める、非常に緊張感のある作業です。

6. 古い接着剤の除去とガスの処理

ドリルをグリグリと慎重に回し進めていくと、穴の奥から古い接着剤が削り取られて出てきます。

ドリルでの掃除により古い接着剤のクズが取り除かれた珊瑚と新しいオープンバチカン
穴をグリグリと掃除していくと、中に固まっていた古い接着剤の削り粉やガスが綺麗に出てきます。

古い接着剤が摩擦でカスとなって穴の外へ排出されていきます。このお掃除を徹底的に行うことで、新しく取り付ける金具の密着度と強度が格段にアップします。

7. オープンバチカンと突刺し金具の溶接(ロウ付け)

珊瑚側の準備が整ったら、今度は新しい金具の加工に移ります。

ピンセットで保持されマルカン部分が溶接された新しいオープンバチカン金具
突刺し金具に「オープンバチカン」を通し、二度と外れないようマルカンの繋ぎ目をしっかりロウ付け(溶接)します。

新しく用意した「突刺しピン付きのマルカン」に、今回の大本命である、パカッと開閉する便利な金具「オープンバチカン」を通します。そして、再び何かの拍子にマルカンが開いてオープンバチカンが落ちてしまわないよう、接合部分を高温のバーナーでしっかりと「ロウ付け(溶接)」して完全に閉じます。

8. 美しい磨き上げと接着、そしてペンダントの完成!

溶接した金具をピカピカに磨き上げたら、綺麗にお掃除した珊瑚の穴へ特殊な硬化接着剤を用いてしっかりと固定します。

オープンバチカンがしっかりと接着固定され修理が完了した珊瑚ペンダント
金具をピカピカに磨き上げて珊瑚へしっかりと接着固定。美しいペンダントへお直し完了です!

ついに、珊瑚のペンダントへのお直しが美しく完了いたしました! 新しく取り付けられたシルバーカラーのバチカンが、桃色の珊瑚をぐっと引き締め、上品でモダンなペンダントへと生まれ変わりました。

9. アレンジ自由自在!オープンバチカン最大の醍醐味

実は、今回取り付けた「オープンバチカン」は、後ろ側がパカッと開く特殊な構造になっています。これが最大の醍醐味です。

オープンバチカンを使って太い真珠のネックレスに取り付けられた珊瑚ペンダント
オープンバチカンなら、このように太い真珠のネックレスにもワンタッチで装着可能!アレンジが広がります。

通常のバチカンであれば、細いチェーンの先端からしか通せませんが、オープンバチカンなら、チェーンの途中のどこからでもワンタッチで挟み込むことができます。 そのため、写真のように、通常なら通すことができない「太い真珠(パール)のネックレス」の珠と珠の間にも、綺麗にカチッと取り付けることができるのです!

シンプルなチェーンに通して普段使いにするのはもちろん、格式高いパールのネックレスのセンターにこの珊瑚をプラスすれば、華やかなパーティー仕様へと瞬時に早変わり。1つのペンダントで、コーディネートのアレンジが何倍にも広がりますね。

お引き渡しの際、この万能な使い方をご覧になったお客様も「これなら色々なコーディネートで大活躍してくれそう!」とパッと笑顔になっていただけました。

眠っているジュエリーのご相談はエファーナへ

「どうやって使えばいいか分からない」「壊れてパーツが無い」とあきらめてしまう前に、ぜひ一度エファーナにご相談ください。職人の知恵と技術で、現代のライフスタイルに合ったより使いやすい形へとアップデートさせていただきます。

エファーナのジュエリー修理専門サイトには、今回のようなバチカン交換やカスタマイズの事例、ネックレスの糸替えなど、たくさんのメンテナンス実績を掲載しております。ぜひご参考になられてくださいね。

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