ロウ付けが完了し、シリコンポイントでピカピカに磨き上げられた美しいK18金具と無傷のナイロン紐

【難修理】ナイロン紐×K18ブレスレットの金具修理!熱に弱い素材を守る「低温ロウ付け」

お気に入りのブレスレットを身に着けようとしたとき、あるいは外そうとしたときに、「プチッ」と金具が切れてしまった経験はありませんか? お気に入りのデザインであればあるほど、ショックは大きいものですよね。

ジュエリーの千切れたパーツを繋ぎ直す修理方法として、一般的には「ロウ付け(金属の溶接)」という技術が使われます。しかし、ブレスレットの素材の組み合わせによっては、非常に高い技術と慎重な判断が必要になる「難修理」となるケースがあります。

今回は、本体が熱に弱い「ナイロン紐」、金具が「K18(18金)」という、ブレスレットのロウ付け修理事例を詳しくご紹介いたします。

1. お持ち込み時の状態:すでに千切れてしまったお気に入りのブレスレット

お持ち込みいただいたときには既に金具の接合部分が切れてしまっており、腕に着けることができない状態でした。

こちらのブレスレットの構造をチェックすると、ブレスレットの本体部分は耐久性のある「ナイロン製の紐」で編み込まれており、留め金具やアクセントとなる金属パーツには「K18(18金)」が使用されています。異素材の組み合わせがとてもおしゃれなジュエリーです。

金具パーツが千切れて離れてしまっているナイロン紐とK18金製のブレスレット
【お持ち込み時】お気に入りのブレスレットが、金具の接続部分で切れてしまっていました。

2. 原因の特定:大きめのマルカンが開いて抜けてしまった状態

破損してしまった原因を特定するため、まずは金具の接続部分を詳しく観察します。 写真の通り、中央にある少し大きめの「マルカン(円形の接続金具)」の輪が開き、そこに通っていたはずのパーツがすっぽりと抜けてしまっていることが分かりました。

ブレスレットは日常の動作で引っかかりやすく、知らず知らずのうちに強い負荷がかかってしまうことがあります。今回も、何かに引っかかった拍子にマルカンに隙間ができ、パーツが外れて切れてしまったと考えられます。これを直すには、パーツを元の位置に戻した上で、マルカンの継ぎ目を「ロウ付け(溶接)」して完全に閉じる必要があります。

ブレスレットの接続部分の拡大写真。中央の大きめのマルカンが開いてパーツが外れている状態
金具の拡大写真。中央の大きめのマルカンが開き、パーツが抜け落ちていました。

3. 修理案の検討:ナイロン紐を熱から守るための難題

さらに破損部分を顕微鏡やルーペで何度も確認し、最適な修理の進め方を導き出します。 ここで、ジュエリー職人にとって最大の課題が立ちはだかります。それは、ブレスレットの本体が「ナイロン紐」であるという点です。

通常のK18のロウ付け作業では、パーツ全体をバーナーの高熱(およそ800度以上)で赤くなるまで炙る必要があります。しかし、金属のすぐ真隣にあるのはナイロン製の紐。もし何も考えずに通常通りのロウ付けを行ってしまえば、一瞬にして熱が伝わり、ナイロンが「チュルチュルちゅるっ」と溶けてしまいます。最悪の場合、大切なブレスレット全体の紐が修復不可能なほどドロドロに溶け、被害が広がってしまうリスクがあるのです。

「金属を溶接するだけの熱を加えながら、すぐ隣のナイロンには一切熱を伝えない」 慎重に、かつ緻密に修理案を組み立てていきます。

顕微鏡レベルでさらに拡大された接続部分と、すぐ近くにある熱に弱い黒いナイロン紐の様子
構造をさらに拡大。金属のすぐ隣にある「ナイロン紐」を熱からどう守るかが最大の課題です。

4. 職人の技術:ヒヤヒヤドキドキの「ピンポイント低温ロウ付け」

いよいよ、極限の緊張感の中で行うロウ付け作業です。 まずは、大きなマルカンに外れてしまっていた切れたパーツを通し戻し、元の正しい形にセットします。

そして、通常のロウ材よりも低い温度で溶ける「低温ロウ(溶接材)」を使用することを選択しました。作業中は、熱がナイロン紐へ伝わるのを防ぐため、できる限りバーナーの炎を遠ざける位置からアプローチし、狙ったマルカンの継ぎ目だけに熱を集中させる「ピンポイントロウ付け」を行います。

まさにヒヤヒヤ、ドキドキの修理です。視線は、ロウが流れる一瞬を凝視すると同時に、ナイロン紐に熱が加わって変色したり縮んだりしていないかを同時に監視します。一瞬の油断も許されない、緊張感あふれる瞬間です。

ピンセットで固定し、バーナーの炎を遠ざけながら慎重に低温ロウ付けを行っている職人の作業風景
【職人技】炎の距離をコントロールし、ナイロン紐を保護しながらピンポイントでロウ付けします。

5. 仕上げ:黒ずみを落とし、ピカピカの輝きを蘇らせる

ようやく…ナイロン紐を傷つけることなく、マルカンのロウ付けが完璧に完了!

ロウ付けの直後は、熱によって金属の表面に「酸化膜」と呼ばれる黒ずみが発生します。これを綺麗に取り除くため、最後の仕上げ工程に移ります。「シリコンポイント」と呼ばれる特殊な磨き工具をリューターに取り付け、金具の細部まで丁寧に磨き上げていきます。 少しずつ黒ずみが消え、K18金本来の眩いばかりのイエローゴールドの輝きが戻ってきました。

ロウ付けが完了し、シリコンポイントでピカピカに磨き上げられた美しいK18金具と無傷のナイロン紐
【完成】ロウ付け後、シリコンポイントで細部まで磨き上げ、新品のような輝きを取り戻しました。

まとめ:諦めそうな難しい修理も、まずはエファーナへご相談ください

「他のお店で『異素材が組み合わさっているから修理できない』と断られてしまった……」 そんなジュエリーも、今回のように美しく安全に直せることがたくさんあります。

エファーナのジュエリー修理専門サイトには、今回の低温ロウ付けをはじめ、様々な素材やデザインに対応したロウ付け修理事例をたくさん掲載しております。お手持ちのジュエリーで諦めかけているものがありましたら、ぜひ過去の事例をご参考になさってくださいね。

お見積もりや修理方法のご提案は無料ですので、大切な思い出の詰まったジュエリーをもう一度身に着けたいときは、いつでもお気軽にエファーナへご相談ください。

みなさんの大切なジュエリーが、再び美しく胸元や手元を彩る日のために。エファーナが全力でサポートさせていただきます!

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