プチッと切れても諦めないで!外れた留め金具のマルカンを太く頑丈に交換・お直しするメンテナンス方法
お気に入りのネックレスを身に着けようとしたとき、あるいは外そうとしたときに、うっかりお洋服に引っかけて「プチッ」と切れてしまった経験はありませんか? 「お気に入りだったのに、もう着けられない……」とショックを受けてしまう方も多いかと思います。
実は、ネックレスのトラブルで特に多いのが、今回の事例である「留め金具の接続パーツ(マルカン)の外れ・変形」です。一見するとチェーンそのものがちぎれてしまったように見えますが、実は適切なメンテナンスを行うことで、これまで通り、いえ、これまで以上に頑丈に直すことができるのです。
今回は、留め金具の受け側パーツが外れて困ってしまわれたお客様の大切なネックレスを、強度を持たせる工夫を凝らしながらお直しした工程を詳しくご紹介いたします。
1. 綺麗に保管してお持ち込みいただいたネックレス
「ネックレスの留め金具のところが外れてしまって、つけられないんです……」とエファーナにお持ち込みくださったロングネックレスです。

お客様は、お持ち込みいただく際にもチェーンがこれ以上絡まったり傷んだりしないよう、とても綺麗に整えて大切に保管した状態でお持ちくださいました。このようなお客様のジュエリーへの深い愛情に触れると、私たち職人も「一刻も早く、美しく使いやすい状態に戻してお返ししたい」と強く思います。
今回の状態を詳しく確認してみると、ネックレスを留める側の「引き輪」の反対側、つまり受け側にある「プレート」とチェーンを繋ぐための小さな丸い輪っか(マルカン)が外れてしまっていました。
2. 原因:小さなマルカンに加わった力と、今後の対策
なぜ、この部分が外れてしまうのでしょうか。原因を細かく顕微鏡レベルでチェックしていきます。

ピンセットで指し示している通り、プレートとチェーンを繋いでいたのは、非常に繊細で小さな「マルカン」と呼ばれるパーツです。日常の着け外しの際にぐっと引っ張られる力が加わったり、お洋服の繊維に引っかかったりすることで、このちっちゃなマルカンが引っ張られて口が開いてしまい、チェーンからポロリと取れてしまったようです。
同じ細さのマルカンでそのまま閉じ直すことも可能ですが、それだとまた同じように強い力が加わった際に簡単に開いてしまいます。そこで今回は、お客様に今後の安心をお届けするため、「従来よりも幾分太めのマルカン」へと交換し、引き張る力に対する強度をしっかりと持たせていく仕様をご提案いたしました。
3.緻密な作業:パーツ同士を再び繋ぐ
それでは、新しい太めのマルカンを使ってお直しを始めていきます。ジュエリーの加工は、ミリ単位、コンマミリ単位の非常に細かな世界です。

専用の工具を使い、まずは新しいマルカンをネックレスのチェーンの端に優しく通します。続いて、ブランドロゴや刻印が入っている大切なプレートパーツの穴へと、順番に繋いでいきます。指先と工具の絶妙なコントロールにより、パーツが傷つかないよう慎重に進められます。
4. 隙間なくピッタリと、確実な固定
マルカンをただ丸く閉じるだけでは、やはり長年の使用でわずかな隙間からチェーンが抜けてしまうリスクが残ります。

そのため、専用のプライヤーを使い、マルカンの繋ぎ目(合わせ目)がピッタリと隙間なく合わさるよう調整し、しっかりと固定を施しました。写真の矢印の部分をご覧いただくと分かるとおり、少し太めになった新しいマルカンが、チェーンとプレートをしっかりと力強く結びつけています。
5. 使用感のテストと最終チェックを経て、お直し完了!
すべての接続が終わったら、最後の大切なステップである「使用感のテスト」を行います。

新しく強固に生まれ変わった留め金具部分を本体のチェーンと繋ぎ、実際に引き輪をプレートにスムーズに着け外しできるか、引っ張ったときにグラつきや強度の不安がないか、入念にテストを行います。
結果はばっちり! これで引っかかりの不安もなく、これまで通り、毎日のコーディネートに安心してお使いいただけそうです。どこか頼りなかった留め金具まわりが、幾分太いマルカンに変わったことで、見た目の美しさはそのままに、格段にタフな仕上がりとなりました。
エファーナからのアドバイスとお知らせ
一度引っ張って切れてしまったり、外れてしまったりしたネックレスは、目に見えないだけでチェーンの他の部分にも負荷がかかっており、実はまた別の場所が切れやすくなっている場合もございます。 お直しした後は、どうかこれまで以上に優しく、慎重にお使いいただけますと幸いです。また、お使いいただく中で「なんだか他の部分も緩んでいる気がする」「変色や異変を感じる」といったことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
エファーナのジュエリー修理専門サイトには、今回のマルカン交換だけでなく、チェーン自体の溶接(ロウ付け)や、より使いやすい金具へのカスタマイズなど、たくさんの修理事例を掲載しております。ぜひご参考になられてくださいね。
