切断されたリング枠から安全に取り外された長方形のグリーントルマリン

思い出のリングを諦めない!トルマリンのリングを#7号アップする技

ひと昔前に記念や自分へのご褒美としてオーダーメイドした、世界にたった一つの大切なジュエリー。時が経っても、その宝石を手にしたときの喜びや思い出は色褪せることはありません。

しかし、「久しぶりに着けていこう!」とジュエリーボックスから取り出してみたものの、いざ指に入れようとすると「きつくて全然入らない……」という経験をされた方は少なくありません。年齢やライフスタイルの変化によって、指のサイズが変わることはとても自然なこと…。

今回エファーナにご相談くださったお客様も、そんな思い出深い大切な指輪のサイズでお悩みでした。お持ち込みいただいたのは、深いグリーンに誰もが魅了される、美しいグリーントルマリンのプラチナリング。

「もう入らないから」とあきらめて眠らせてしまう前に、ぜひ当店のサイズ直しをご覧ください。今回は12号弱から19号へと、なんと7号近くも大幅にサイズアップさせる緻密な修理工程をご紹介いたします。

1. 深みのある緑…記念のグリーントルマリンリング

「昔、記念にオーダーして作った大切な指輪なんです。この深いグリーンに一目惚れして……でもしばらく着けていなかったらきつくなってしまって」とお持ち込みくださったのが、こちらの指輪。

サイズ直し前のお預かりしたグリーントルマリンのプラチナリング
ひと昔前に記念でオーダー製作された、深い緑色の輝きが美しいグリーントルマリンの指輪。

プラチナの重厚なアーム(腕)に、すっきりとした長方形のエメラルドカット(レクタングルカット)が施されたグリーントルマリンが横向きにセッティングされています。スタイリッシュなデザインですが、地金がしっかりと石をホールドしているため、このままアームを広げると石に直接大きな負荷がかかってしまいます。

2. 現在のサイズチェックと、大幅サイズアップへの挑戦

まずは修理を始める前に、現在の正確な指輪のサイズを計測し、お客様の現在のご希望サイズとどれほどの差があるかを確認します。

サイズ棒でグリーントルマリンリングの現在のサイズが12号弱であることを計測する様子
現在のサイズを計測すると「#12弱」。ここからご希望の「#19」へ大きく広げていきます。

金属製のサイズ棒に通して現状を計測したところ、目盛りは「#12弱(12号に少し満たないサイズ)」でした。そして、お客様が今度はめたいとご希望される指のサイズは「#19(19号)」。 実に7号近くも大きく広げるという、非常に大規模なサイズ直し加工となります。

3. あらゆる角度からの事前チェック

サイズを大幅に変更する場合、指輪全体のバランスや形状が崩れてしまわないか、事前にあらゆる角度からルーペを用いて点検を行います。

アームの厚みや石留めの状態を側面からチェックしているグリーントルマリンリング
加工を始める前に、サイドからデザインや地金の厚み、石への影響を細かくチェックします。

サイド(側面)からアームの厚みや石留めの構造をくまなくチェックします。今回のリングは石が横使いに配置されているため、指輪を大きく広げて丸みを引き伸ばすと、石を支える台座の幅まで引っ張られて広がろうとします。そうなると、最悪の場合は硬いプラチナに挟まれたグリーントルマリンが圧力に耐えかねてピシッと割れてしまう恐れがあります。

4. デリケートなトルマリンを安全に取り外す

大切なグリーントルマリンに少しの負担もかけないため、「加工前に石を一度枠から外す」という最も安全で確実な方法を選択しました。

切断されたリング枠から安全に取り外された長方形のグリーントルマリン
加工時の熱や圧力で石が痛まないよう、リング最下部を切断した後にトルマリンを一度取り外します。

リングの最下部(手のひら側)を糸鋸で切断し、慎重に爪を起こして細長くデリケートなトルマリンを台座から取り外します。これで、どれだけ熱をかけたり叩いたりしても、大切な宝石が傷つく心配はありません。

5. 職人の技:火入れとなまし、木槌による成形

リング枠だけになったところで、いよいよ金属の加工に入ります。

トルマリンの台座に気を配りながらサイズ棒と木槌で19号へ成形する様子
バーナーでアームをなまし、サイズ棒と木槌を使って台座の形を崩さないよう慎重に#19へと広げます。

プラチナのアームをバーナーの激しい炎で真っ赤に加熱し、「なまし(金属の緊張をほぐして柔らかくする作業)」を行います。その後、サイズ棒へ通し、木槌を使って「トントントン……」と小気味よい音を立てながら、トルマリンの台座部分に歪みが出ないよう最新の注意を払い、慎重に#19の形状へと広げていきます。

6. プラチナ片の挟み込みとロウ付け(溶接)加工

12号弱から19号へと広がったことで、リングの切断部分には大きな隙間が生まれます。ここに新しい地金を補う必要があります。

切断口に約7ミリのプラチナ片を挟み込んで溶接されたリング
生まれた隙間に約7ミリのプラチナ片を挟み込み、高温のバーナーでロウ付け(溶接)します。

計測した隙間にぴったり合うよう、約7ミリメートルもの長さのプラチナ片を切り出し、切断口に寸分の狂いもなく挟み込みます。そして再び高温のバーナーを用いて、プラチナ同士を一体化させる「ロウ付け(溶接)」を施します。その後、ヤスリをかけて余分な金属を削り、形をなめらかに整えていきます。

7. 19号への調整と、全体への丁寧な研磨

溶接と一次成形が終わり、リングが美しい真円の19号へと生まれ変わりました。

サイズ棒の19号の位置にジャストサイズで調整されたプラチナリング枠
ご希望の「#19」へサイズ調整が完了。ここから全体をしっかりと鏡面に磨き上げます。

ここからは複数の研磨工具(バフ)を使用し、新しく足したプラチナ片の部分だけでなく、リング全体に刻まれた細かな生活傷やくすみをすべて取り除くように、徹底的に磨き上げていきます。

8. 溶接の痕跡を完全に消し去る美しい仕上がり

サイズ直しでパーツを付け足した際、繋ぎ目がうっすらと線になって見えてしまうことがしっかりと磨きを入れていきます。

ロウ付けの跡が綺麗に消えるまで研磨されたリングの下部アーム
リング下部のロウ付け加工痕も、職人の細やかな研磨により全く分からないほど綺麗に仕上がりました。

ご覧の通り、リング下部のロウ付け加工の痕跡(繋ぎ目)はどこにあったのか全く分からず、元からそのサイズであったかのように美しく均一に輝きを放っています。アームの厚みも綺麗にキープされています。

9. 最終ステップ:トルマリンの再石留めと厳重チェック

枠が完璧に仕上がったところで、避難させておいた美しいグリーントルマリンを再び台座へと戻します。

グリーントルマリンを再びセッティングし最終の石留めチェックを行う完成写真
グリーントルマリンを台座に戻し、最終の石留直しと引っ掛かりがないかを厳重にチェックして完成です!

最後の重要工程である「最終石留直し」です。石を戻し、グリーントルマリンに無理な圧力がかかっていないかを顕微鏡で確認しながら、しっかりと枠に固定します。さらに、お洋服などに引っかかりがないかも細かくチェックを重ねます。

こうして、お客様の思い出が詰まった大切な記念リングが、ご要望通りの「#19」へと美しくサイズ直し完了いたしました!深く神秘的なグリーンの輝きが、再びお客様の指元で誇らしげに輝く準備が整いました。

ジュエリーのサイズ直しはエファーナへご相談ください

お気に入りの指輪がきつくなってしまっても、あきらめる必要はまったくありません。エファーナのジュエリー修理専門サイトには、今回のような天然石を取り外して行う高度なサイズ直しをはじめ、様々なデザインや貴金属の修理・メンテナンス事例を豊富に掲載しております。

お手持ちのジュエリーで「また着けたいけれどサイズが合わない」「壊れてしまって直せるか知りたい」といったお悩みがございましたら、どうぞお気軽にエファーナまでご相談くださいね。

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